貸金業法による総量規制について

消費者金融を利用するときには、私たちが知っておかなければならない法律がいくつかあります。
貸金業である消費者金融は、貸金業法に基づいて運営をしています。
その貸金業法の中にある総量規制は、私たち利用者が貸金業者から借り入れができる金額を制限する法律です。
融資限度額や必要書類にも関わりがあるため覚えておく必要があります。

 

総量規制で決められた借り入れ制限

個人向け貸付が総量規制の対象となっています。
貸金業法の中にある総量規制は、貸金業者が対象です。
消費者金融のほか、私たちの身近ではクレジットカードのキャッシング枠があります。
銀行カードローンや、住宅ローン、自動車ローンなどは総量規制の対象ではありません。

 

まずは「個人向け貸付」について簡単にご説明しましょう!

 

貸付けには4種類の契約があります。

 

  • 個人向け貸付
  • 個人向け保証
  • 法人向け貸付
  • 法人向け保証

 

この中で総量規制の対象となるのは、個人向け貸付のみです。
法人は対象ではない、それはわかりやすいでしょう。
それでは個人向け保証とは一体なんのことでしょうか?

 

銀行カードローンなどに申し込みをすると、保証会社による保証が必要となります。
保証人と同じ役割を持つ保証会社になりますが、実は保証会社は貸金業者であることが多く、例えばSMBCコンシューマーファイナンス(プロミス)なども保証会社を担っています。
そのため個人向け保証とはいわゆる「保証会社の保証を受ける」ことに相当するものであり、実際の貸し付けとは異なります。

 

個人向け貸付は、いくら借り入れをしてもよいというものではありません。
個人の貸金業者からの借り入れ総額は原則年収などの3分の1までに制限されています。
それが総量規制です。

 

ここで問題になるのは、「実際に借り入れた金額が総量規制の対象になるのか?」それとも「融資限度額なのか?」ということでしょう。

 

 

実際の借入残高ではなく、融資限度額が総量規制の対象になります。


 

実際に年収と借り入れ制限は、どのようになるのかを見てみましょう!

 

年収300万円の場合

総量規制に基づいて年収の3分の1である「100万円」が貸金業者からの借り入れ上限となります。

 

消費者金融 融資限度額 借入残高
A社 30万円 30万円
B社 30万円 20万円
C社 30万円 10万円
D社 10万円 5万円
合計 100万円 65万円

 

融資限度額をみてみると、合計融資限度額は100万円です。
実際の借入残高では65万円です。
しかし、融資限度額はいつでも借り入れができる金額であることを忘れてはいけません。

 

つまり、融資限度額に余裕があるときには、今日にでも満額の借り入れをしてしまえば借入残高合計が100万円になり得る金額であるということです。

 

そのため実際の借入残高ではなく、満額借り入れたときの融資限度額が年収の3分の1以内に抑えられるように、消費者金融の審査は進められています。

 

収入証明書類で年収の3分の1を証明する

申込書には現在の収入と、他社からの借り入れ状況を申告する項目があります。
しかし消費者金融は確実にリスクを回避しなくてはならず、それが審査の最大の目的でもあります。
そのため、他社からの借り入れ状況を確認するために個人信用情報機関に照会をしています。

 

総量規制では個人の借り入れ総額は年収の3分の1までと決めています。
申込書で申告した年収を鵜呑みにするわけにはいかない大きな貸付もあるでしょう。
借入金額が大きくなればそれだけ、総量規制の上限に抵触する可能性が出てきます。

 

 

総量規制では年収の3分の1に抑えられるように年収を確認するタイミングを決めています。


 

消費者金融などの貸金業者は利用者に対して、収入証明書類の提出を求めるタイミングがあります。

 

  • 融資限度額が50万円を超える場合
  • 希望する借り入れ金額が50万円を超える場合
  • 他貸金業者を含めた総貸付額が100万円を超える場合

 

新規申し込み時だけが収入証明書類提出のタイミングではありません。
以下の条件の時、貸金業者は個人信用情報機関に残高を調べることとなっています。

 

  • 1ヶ月の借り入れ合計額が5万円を超え、借入残高が10万円を超える場合
  • 借入残高が10万円を超える場合(3か月に一度個人信用情報機関に照会)

 

この時に借り入れ総額が100万円を超えている場合には、収入証明書類の提出が必要になります。

 

総量規制が施行された理由

総量規制が施行されたのは2010年、貸金業法改正です。
かねてから社会問題となっていた多重債務を防止するために総量規制は施行されました。

 

多重債務とは、本人の返済能力を超えた借入をすることで返済に困窮している状況です。
多重債務の定義の中には「何社からの借り入れ」という数字はありません。
例え2社でも返済に困窮していると、それは多重債務となります。

 

逆に考えることができます。
返済能力を超えた借入をする、逆に考えると、返済能力を超えた貸し付けをすることでもあります。
消費者金融が返済能力を超えた貸し付けを行うことによって、多重債務が生まれていたともいえるでしょう。

 

現在は消費者金融を含めた貸金業者は、個人への貸付金額を総量規制によって制限されているため、返済能力を超えた貸し付けを行うことはありません。

 

総量規制だけでは多重債務は防げない

それでは総量規制があれば多重債務にならないのかという問題について考えてみましょう!

 

年収300万円では総量規制に基づいて、その借り入れ上限は100万円までとなります。
300万円の収入で100万円となれば高いイメージは無いかもしれません。
年収ではなく、月収で考えてみるとどうでしょうか?

 

月収25万円で100万円の借金です。
当然返済をするためだけに収入を得ることは難しく、私たちは日々の生活を営むためにもお金を使い、将来のためにもお金を備えていかなくてはなりません。
月収25万円で100万円の借金とは、容易に考えてよい金額ではありません。

 

また、100万円も借入ができるという状況も考えてみましょう。
現在の消費者金融では1社あたりの平均融資限度額は20万円程度となっています。
仮に20万円の融資限度額として考えても、5社からは借入ができるという単純計算ができます。
5社からも借り入れができる、立派な多重債務といえるでしょう。

 

 

総量規制の範囲であっても、個人の使い方次第で多重債務に陥る恐れはあることは覚えておかなくてはなりません。
計画的な利用こそ、多重債務を防ぐ最善の手段です。